過保護な副社長はナイショの恋人
「副社長も、そういうことを考えるんですね。女性の働き方とか……」

「当たり前だよ。うちの社長は、他企業からの引き抜きだろ? しかも外国人で。だから、よく言われるんだ」

立ち去りかけた足は、自然と副社長のデスクへ戻る。こんな話が聞けれるなんて、貴重すぎて聞き入っていた。

「俺は、ずっとここで働いているからな。会社の雰囲気や、特色はよく分かっているはずだろうと、社長から言われる。だから、社員のことも教えてほしいってね」

「そうでしたか……。でも、今のはあくまで私個人の意見なので」

「いや、とても参考になった。ありがとう」

口角を上げて笑みを浮かべた副社長に、私はペコリとお辞儀をすると、部屋を出た。

荒木さんにも会釈をして総務へ戻ると、さっそく先輩社員に声をかけられる。

「ねえねえ、梶田さん。副社長とどんな会話をした?」

私より二歳年上の先輩事務員、吉原さんだ。キレイな顔立ちで、仕事がよくデキる。

けっして嫌みな人ではないけれど、副社長狙いが見え見えで、あまり好きじゃない。

こうやって、副社長室から戻るたびに、探りを入れてくるのだからウンザリする。

それでも、相手は仕事の先輩。心の内は隠してニコリとした。

「特には……。資料のオーケーを貰っただけです」
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