過保護な副社長はナイショの恋人
と答えると、吉原さんはあからさまに不満げな顔をしている。

「本当に? いつも、副社長室に呼ばれるのは梶田さんでしょ? お気に入りなのかなって、思ったんだけど……」

「まさか⁉︎ そんなわけないじゃないですか。たぶん、資料作成に慣れているから、私が指名されるんだと思います」

お気に入りだなんて、変な噂が立つと副社長にも迷惑がかかる。仕事で信頼をされ始めたかなとは思うけど、贔屓をされているわけじゃない。

だから、キッパリ否定すると、吉原さんは渋々納得したようだった。

「咲実も大変ね。副社長室からお呼びがかかるたびに、あれじゃあね」

デスクへ戻ると、隣のあやめが同情の眼差しを向けた。彼女はここでは、数少ない副社長に興味のない女子だ。

「ホント。そんなに副社長が気になるなら、自分からアプローチすればいいのにね」

だいたい、恋人がいるかもしれないのに……。あの花が私は気になるな……。

「そういえば咲実。今夜は安部さんとデートだっけ?」

不意にあやめに言われ、私は慌てて否定した。

「デートなんかじゃないよ。一緒にご飯を食べに行くだけ」

「そうなの? 安部さんといえば、本店ではエリートで有名なアナリストでしょ? かなりモテるって噂があるのに、デートじゃないんだ」
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