不機嫌なカレと秘密なつながり
「どうして、みんな海堂君に甘いのよ」

マネが腰に手をやって、頬を膨らませた

「その子の持って生まれた才能ね…きっと」

体育館に真っ赤なワンピースで入ってきた女が、にこっと笑って、会話に乱入してきた

「あ、麻耶先生」

一条が明るい声をあげた

麻耶? 俺はワンピースから視線をあげて、顔を確認した

「あの人が新任の先生だよ」

一条が嬉しそうに顔を緩めて、俺のわき腹を小突いた

『彰汰、教えてあげる。いろいろと…』

真っ赤なルージュの唇が動いている映像が、俺の脳内で再生された

記憶の片隅にあった過去の出来事が、思いだされる

口を緩めて、笑みを作ると俺は首を左右に動かした

こんなところで、会うとは思わなかったよ…麻耶先生

小学生のときの俺の家庭教師だった女だ

「マネ、俺、帰る」

「ちょ…海堂君っ!」

俺はリストバンドを外しながら、体育館を出ると、部室に向かった
< 69 / 97 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop