不機嫌なカレと秘密なつながり
吐き出せるのもは、すべて吐き出したのに、胃の奥がまだむかむかする

俺はジャージの上から、胃を抑えると、「ふう」っと深く深呼吸した



「彰汰?」

サッカーボールの入ったかごをガラゴロと押しながら歩く姫歌が、サッカー部の部室の前に立っている俺に声をかけた

ひどく驚いた顔をしている

俺が待っているなんて、初めてだし、びっくりしたんだろうな

「彰汰、ちょっと、どうしたの? 顔が真っ青だよ」

ああ、そっちに驚いたのか

「胃がむかむかして、さっきトイレで吐いてきた」

「ええ? 風邪でもひいた? 熱があるの?」

姫歌が手を伸ばして、俺の額を触った

ふわっと姫歌の匂いがする

ああ…この匂いがいい

香水なんかの作り物じゃない姫歌本来の匂いが、俺の心を落ち着かせてくれるんだ

俺は、人目も気にせずに、姫歌を抱きしめて鼻から息を吸い込んだ

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