不機嫌なカレと秘密なつながり
「彰汰…あの人、知ってるの? ジャージと同じ匂いがしたよ」

姫歌が俺の手首にそっと触れた

「小学生のときの家庭教師だ」

「そう…綺麗な人だね」

「全然。綺麗なんかじゃない。姫歌のほうが、ずっと綺麗でかわいい」

すっと姫歌の手が離れた

「き、着替えるから。今日はもう帰ろう」

「なんか、勘違いしてるだろ?」

「別に…」

姫歌がワイシャツのボタンを留めながら、ぐるっと俺に背を向けた

「俺が好きなのは姫歌だ。あの人は好きじゃない。嫌いだ」

「じゃあ、なんでジャージから同じ匂いがするの?」

「知るかよ。俺はあの匂いが嫌いなんだ。だから吐いた。それだけだ」

「どうして嫌いなの?」

「姫歌には言えない」

「そう…わかった。あの人とあたしに言えないことが過去にあった…だから言えない」

姫歌はブレザーを羽織ると、さっさと保健室を出て行った

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