キラキラしている人がいる
「…待たない!」
「ダメ。」
「ダメじゃない!」
腕を引っ張られ、前に進めないとわかっているのに無理やりにも前に進もうとする小林。
俺のことを引きずって歩くつもりかと言いたくなるくらい強い力で引かれる。
「小林、そんなに俺と話すの嫌なの?」
その一言に、小林の引っ張る力が弱まった。
振り返って顔を上げる。
そこには、今にも泣き出しそうな、情けない表情が張り付いていた。
「最初に嫌がったのは中田じゃんか。」
「嫌がってない。」
「嫌がった!」
「嫌がってねーよ。俺は、俺と関わると小林が嫌な思いするかと思って…」
「やっぱ嫌がってんじゃん!中田のバーカ!」
「は?なん、馬鹿っていうな!お前の方が馬鹿だろ!」
「どうせあたしは馬鹿ですよ!
それくらいわかってる!すぐ調子に乗るし、単純だし単細胞だし前しか見えなくてすぐに失敗するし、優しくされるとうれしくなるし、構ってもらうと顔にやけるし、すぐ勘違いするし!
どうしようもないダメ人間代表ですよどうせ!」
「な、そこまで言ってないだろ。」
泣きそうな顔が怒った顔になった。
今日は小林の新しい表情がよく見れる。
怒った顔が可愛いと思ったのは今まで生きてきた中で初めてだ。
そうか、俺は小林のことが可愛いと思っているのか。
「小林は可愛いよ。」