170回、好きだと言ったら。
少しだけ息を切らしたテルくんは、大きく深呼吸をしてあたしの肩を掴む。
そのままぐいっと引き寄せられると、テルくんの方へ一歩近づいた。
ぶわりと顔が熱くなるのを感じる前に、またシャッター音が響いて、それからテルくんの「実衣、真っ赤」という言葉にキャパオーバーしそうになる。
「…実衣、帰んぞ」
「テルくん気が変わるの早い!」
あたし、今胸が苦しくて顔も熱いのに!
逆にテルくんは全然顔色を変えないからずるい…!
赤いボールを上に軽く投げて、テルくんは器用に一人遊びをし始める。その後ろをあたしは置いて行かれないように着いて行った。
時々、あたしが着いて来てるか確認するテルくんは。
どこか不安そうで、何か言いたそうな顔をしていたけど、あたしがそれを聞く勇気なんて持ち合わせていなかった。