170回、好きだと言ったら。
リビングに比べて狭い客間には、二つのお仏壇が置かれているだけだ。
一つはお母さん、もう一つはお兄ちゃん。
お母さんの写真はあまり残っていなかったから、一枚だけあった家族写真にした。
お兄ちゃんの写真は沢山あったから、その中で一番カッコイイものを選んだ。
(お母さん、お兄ちゃん。おはよう、昨日報告した友達に今日も話しかけてもらえるかな?
後…、昨日テルくんとボール遊びしたんだ。
凄い楽しかったよ)
手を合わせて心の中で報告すれば、お線香に火をつける。行って来ます、と声をかけてから立ち上がると、リビングへ向かった。
「……実衣、天気予報外れたみてぇ。昨日雨降るとか言ってたけど、さっきは全然降ってなかった」
「え、本当? 洗濯物どうしよう、テルくんのは昨日中干しにしたし…。
途中で降ったら嫌だから、あたしも今日は中に干そうかな」
その前に朝ごはん作るね、と言いながら洗面所で髪ゴムを持ってくると、テルくんの隣に腰を下ろした。