そのくちづけ、その運命
そして、私たちは30分という時間を肩を並べて歩いた。

最初は無駄に緊張して早口になってしまったり、噛んだりして、どぎまぎしてしまったが、彼はそれすらも楽しそうに笑ってくれた。

「みこっちゃん、もしかして緊張してる?」

「はい…」

「ハハ、どうして?」

それは、あなただからでしょ!!

彼は何の悪気もなさそうに、無邪気に私の顔を覗き込んでくる。

彼の瞳は近くで見れば見るほど、やっぱり少し色が薄い、透き通ったきれいなブラウンだった。

目が合うたびにドキリとしてしまって、心臓がもたない。そのたびに、私は呼吸するのも忘れるほどだった。


こんなやり取りが最初にあったが、彼は慣れずに口ごもってしまう私をせかすこともせず、じっと待っていてくれる。そのおかげで、私は自分のペースを取り戻せた。

最初にレストランの入り口に現れたときにも感じたことだけど、彼がまとうオーラはとても独特で、周りの者を癒す効果があるのではないか。

実際に、男子が苦手な私でも、彼の隣はとても落ち着く。
居心地がいいとすら感じてしまう。


そして多くのことを話した。

30分はあっという間に経ってしまったけど、それでもそれはとても素敵な時間だったと思う。
少なくとも私の今までの人生では体験したことのない類のものだった。

キラキラした世界――とか、そんなイメージがよく似合う。

雨が今にも降りそうなこの空の下、
私は不思議なことに正反対の心もちでいた。
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