サヨナラ、大好きだった。
私には不登校の友達がいた。
その子は別室でプリントをして授業は受けたくないスタイルだった。
私は毎日足を運んで話していた。
あるときの話
『あのさ、渋木。俺これから職員会議やからあいつに手紙渡しといてくれる?』
『わかりました。』
私はこの頃から度々、大神先生に何かを任されるようになり友達と会うことじゃなくて先生に頼まれることに重きを置くようになっていた。
『まだ、帰ってなかったんか。
もう鍵閉めるから行くで。』
『はい』
二人もしくは四人で廊下を歩く。
もう皆帰ってしまって静まりかえっている校舎。
そして、ほんのり薄暗い階段。
『それさ、イメチェン?』
『何がですか?』
『だから、髪型がらりと変えたやんか』
『いや、そういうわけじゃないですけど。』
『じゃあ何なんや』
『何ですかね』
やっぱり素直になれない。
先生に毎日、毎日聞かれるのが楽しみだった。
それだけなのに。
『それさ、またいじっていい?』
『はい…まぁ、いいですよ』
『ええ、いいんや。イメチェンなん』
『はい。』
とうとう素直になってしまう日もあった。
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