私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~


「うまそうな匂いだね」

モツ鍋のいい匂いが漂っている。確かにいい匂いなんだけど。

もつ鍋の匂いって独特だから、本当にいい匂いだと思っているのか、気を使って言ってるのか、本当のところは分からない。

「そうですか?高陽さんのような人がモツの鍋なんて、食べ慣れてるとは思えませんけど」

無表情に見えた顔が少しだけゆがむ。

「食べたことはないが。興味深い食べ物だ。っていうか……
それ、全部一人で食べるのか?」

高陽さんは、不信感たっぷりにキッチンの鍋を見つめてる。


高陽さんの言い方では、モツ鍋が問題なのか、鍋の量に問題があるのか、どっちなのか分からない。

どっちを批判したいのか分からないけど。彼の言葉が余計なお節介に思えて、わざと意地悪く答える。


「一人で食べるのは、いけませんか?」

別に一人で食べたっていいじゃないですか。プリプリとしたモツはコラーゲンたっぷりですよ。

まあ、でも。

始めて彼が部屋に来てこの状況は、はっきり言って失敗だったと思う。

付き合い始めの彼に、大きな土鍋でモツなんか煮てるのを見られるのは、よくないというか。


でも、この場合は、仕方ないと思う。彼がやってくるなんて思わなかったし。

突然訪ねて来て、食事まで食べていくなんて思わなかったんだもの。


この様子を見られて、興ざめしたって言われたら運命だなってあきらめよう。
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