私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
一人暮らしのアラサー女の、若干の寂しさを感じるのは否めない。
モツを食べるのも、一人で大鍋を使って食べるのも、両方イタイ気がするが。
気にせずに答える。
高陽さんが夫だからと言って……
彼がいい男だからって、モツを食べる女を、非難する筋合いはないはずだ。
ん?
高陽さん、返事を返してこない。気に障ったこと言ったのかな?
それとも、少々言い過ぎたのだろうか?
だんまりのまま返事が返ってこない。やっぱり引いたかな。
こんな女だったのかと、ドン引きしたって言われても仕方ない。
別に、黙っていられたって構わないけど。謝ったほうがいいかなと思って、彼の方を振り返る。
高陽さんは、座るタイミングを外したのか、まだに部屋にポツンと立っていた。
どうぞ適当にお座りくださいとジャスチャーで示す。
「ああ」
けれど、相変わらず、突っ立ったまま小さなテーブルを見下ろしている。
小さなテーブルのどこに座ったらいいのか考えあぐねて、困ってるみたいだ。
私は、鍋の火を細め彼のところまで行った。
「コート貸してください」私は彼の方に手を差しだす。
「ああ、ありがとう」
コートを受け取って、洋服をかけてるラックにつるす。
「あっ」
コートが長すぎて裾が付いてしまってる。
すぐに振り返ると彼は、構わないよと目で合図を送ってくれた。
コートの下に着ているスーツもいい生地で出来てる。こちらは、脱げと言う訳にはいかないか。
どうしよう。
スーツをモツ臭くした上に、埃だらけにしてしまうかも。高級スーツで、くたびれた絨毯の上に座らせるのは心苦しい。
なんて家だ。
クッションが……
「すみません。これしかないですけど」
ピンクのマカロン型の座椅子型のクッションを差し出す。
「ありがとう」
差し出されたマカロンに、ちょこんと座る高陽さんが可愛く見える。
ずいぶん座高の高くなった彼に、私は思わず微笑む。