私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
もつ鍋には、日本酒がいいんだけど。部屋に日本酒を隠している、イタイ存在だと思われるのは避けたい。

私は、高陽さんにビールを勧めた。高陽さんは、お酒が入って柔らかい態度になって打ち解けてきた。

表情をゆるめ、微笑むと箸でモツを口元に運んでいる。

「高陽さんに庶民の味が通じるかどうか知りませんが」

彼が、どういう反応をするのか注意深く見守る。

「いや。ちょっと心配したんだけどね。なかなかいけるよ。君は料理が上手だ」

「そうですか……」

味自体は、鍋のもとを使っているから失敗のしようがないんだけど。高陽さんは、煮立った鍋をのぞき込みながら、湯気に当たってる。彼の器の中は、空っぽだった。


「こんな風に二人で食べるのもいいね」そう言って、彼はお代わりを催促した。

この人がどんな反応するのかすごく不安だったけど。一応、大丈夫そうだと思った。

この人には、未知の経験を楽しんで受け入れるだけの余裕がある。

それを感じて少し嬉しくなる。
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