あの夏の空に掌をかざして
「……へ」
「ふふ、やっとこっち向いてくれた」
そう笑って、日向はあたしの右手を引く。あたしは、突然のことにびっくりして、放心状態になった。
び、びっくりしたぁ~!なにあれなにあれ!おでこに、ち、ちゅーしたぁ!
乱れた前髪もそのままに、左手をオデコに当てると、キスをされたという事実に、後から思考が追い付いてくる。
……熱い。おでこも右手首も、ぜんぶぜんぶ、熱いよ……。
周りが暗いので、他の人は気づかなかったようだ。あたしの右手をとって、前を歩く日向の背中を見つめて、あたしはその真意を問いたい衝動を必死に抑え込んでいた。
でも、日向にとっては、"妹"にキスしたってだけなんだろうな。あたしだけ、なのかな……。こんなに、意識してるの。
そう思ったら、今まで熱かったところが途端に冷えていくようだった。