【短】あなたの鍵が見つからなくて
やっと瑠佳さんが手を離してくれた。
身体を離したけれど、まだ寝たままの瑠佳さん。
乱れた髪の隙間から見えた瞳。
あたしを見つめるそれは悲しみに溢れている。
そのままの状態で、またぽつりぽつりと話し出す。
「初めて会った時。俺の顔見て、どう思った?」
「顔……」
「醜い? 綺麗? 不細工? カッコイイ?」
あたしは答えに詰まる。
どんな言葉を望んでいるのか、あたしにはよくわからない。これ以上、傷つけたくないって思ったから。
「正直に言えよ」
「あ。えっと……」
「最初、見た時どう思った?」
「綺麗だって、思った」