うちの執事は魔王さま
「では………私が、いや…俺がただの執事ではなかったら?」
闇は一層深く。
恐怖という文字がその場を支配していた。
「...ま、まさかな...。あんたが人間界(こっち)にいるなんてな…..」
「あぁ、あいつら以外誰にも言ってねぇからな」
雲影から月がやっと現れた。
しかしその姿は月明かりが照らす教室の影によってはっきりとは見えない。
「あいつら…そうか、【七人の罪人(シンズ)】…そいつらの政治も全く使いものにならない世界になった。お前が消えたせいだ!」
「...確かに俺が魔界から離れてから異常をきたしているみたいだな。向こうのことは奴らに任していたが失敗だったようだ」
「まるで他人事だな…!」
「...そうでもない。これは俺にとっても予想外のこと。割と焦っているんだ。しかしまぁ、そのうちどうにかするさ。さて、無駄話もここまでだ。そろそろ帰ってもらおうか。こんな冷たい床にうちの姫を寝かし放しには出来ない」
パチン───
指を鳴らせば半透明の幽霊の姿は消えていた。
音楽室の幽霊、アルタは魔界へと強制送還されたのだった。