先生、僕を誘拐してください。
面接練習、自己紹介文、大学に入って学業以外で頑張りたいこと、書いたり伝えたりするだけなのに、敦美先生の熱血指導で人一倍疲れた気がする。
気が付けば空がオレンジ色に染まりつつあった。
「うえー。うちらなんて九月の学際後、速攻推薦入試なのにね」
真由が、学際の準備で色づく校舎を眺めながら悪態を吐く。
が、私たちはまだマシなほうだろう。
未だに図書室や自習室、空き教室では受験生が勉強しているんだから。
「そういえば奏のTシャツ、もう有名になってたよ」
「……なんのこと?」
「うふふふ。未来ちゃんがさ、やたら最近奏くんが女の子に告白されたり連絡先聞かれたり、部活の応援に来たりモテモテだって言ってたのよ。だから美空大丈夫かなって心配してたに、したらさ」
がははと豪快に真由は笑うと、私の背中を叩いた。
「背中に『美空』って書いたシャツを着て、学際の看板作ったり部活してるんだもん。すごいよね、愛だよね。愛。部活に専念できるように他を牽制してくれてんだよ」