先生、僕を誘拐してください。
私だって、奏がそこまでモテるとは知らなかった。
部活や生徒会で中心になって動いている姿は、確かに格好いいし目立ってしまうけどさ。
それに最近、体が夜中眠っているときにミシミシ言うらしい。
身長も伸びてる。
「いいわよねえ。愛。愛。ああー私も受験合格したらラブが欲しいわあ」
他人事のように笑う真由を横目で睨んでいたら、三年の靴箱前に蒼人が立っていた。
まだ帰宅する三年は少ないので目立っている。ちょっと緊張した顔なのに、仁王立ちなのが意味不明だった。
そして私を見て、うわっと明らかに嫌そうな顔をしている。
「なに?」
「姉ちゃんも居るかなあとは思ったけど、やっぱ居るんだよなあ。まあお互い様だけど」
「だから何よ」
「俺が用がある相手は、こっちのブス」
「あ? ブスだあ?」
真由が鬼よりも怖い形相で蒼人をにらみながら近づくと、蒼は突然背中を見せた。
「学際のフォークダンス、お願いします!」
「え?」
真由がぽかんとする中、蒼人の背中には『真由! 俺を陸上競技場へ連れてって』と書いている。
意味が分からない。
「これ、告白のつもり?」