先生、僕を誘拐してください。
その夜、窓辺に本音くんは現れなかった。
けれど代わりに次の日から、『美空』と書いたTシャツを着た奏と、『真由 俺を陸上競技場へ連れてって』と書かれたTシャツを着た蒼人が、堂々と学校中を歩き、あの姿で学際準備をし、あの姿で部活をしていた。
おかげで私たちは見つけるたびに爆笑したり、恥ずかしくて赤面したりと忙しかった。
バカな二人は、そのTシャツを学際本番前にペンキで汚してしまうので、私たちは呆れるのだった。