『誰にも言うなよ?』


「そういえば……」


ダイヤがぺたんこだ。


一定の間隔進むたびにガタンとおかしな振動が伝わってくる。


「空気ないね」

「つーか、もしかしたら……」

「?」

「来い」


雅人に導かれ、やってきたのは

少し歩いた先の大通りにある自転車屋さんだった。


「ああ。これ、パンクしてますねぇ~」


店員のお兄さんがタイヤを確認しながらそういう。


(パ……パンク!?)


「なっ……、直りますか?」

「うん、直るよ」

「よかったぁ」

「500円」

「え」


予想外の出費だ。

自分の自転車のタイヤがパンクするなんて。


どうしよう。今、お金持ってない。


「どうする? 修理する?」

「いえ……」

「しないの?」

「えっと……」


戸惑っていると、横から雅人が「お願いします」と店員にお金を支払った。


「あっ……ありがとう。必ず返すから!!」

「気にしなくていいよ」


いやいや。気になるし。


「そうだ」

「え?」

「玉子焼き」

「……は?」

「この前、あんたの卵焼き奪ったろ。これでチャラってことで」


えぇぇえ!?


あんなお玉子焼きに500円もの価値ないよ?


500円あったらどんなけ玉子焼き焼けるか知ってる!?

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