『誰にも言うなよ?』


「行こう、素子」

「……!」


雅人に手を握られる。


「雅人さぁ。そんな子といて、楽しい?」

「ああ」


(雅人っ……)


いつだって雅人は『理想の彼氏』を演じる。

でも、それは、雅人の本心ではなくて。

すごく無理をさせてしまっている……。


「つまんないの。退屈で死にそう」


もしもエリカが誰かをイジメていないと退屈で死んでしまうというのならば。


一人で、勝手に死ねばいいと思う。


周りを巻き込むな。


ぐっと、手に力が入る。


そしたら雅人が握り返してくれた。


『落ち着け。俺がいる、安心しろ』

って、言われているみたい。



「まあ、いいや。新しいオモチャならあるし」


(……アタラシイオモチャ?)


エリカが背中を向ける。


「待てよ、エリカ」

「……なに」

「お前、なに企んでるんだ?」
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