『誰にも言うなよ?』
「……なんのことか、わかんない」
そう言うと、エリカは行ってしまった。
雅人、わたしの前ではエリカのこと名字で呼んでたのに本人には名前で呼び捨てだった。
……親しいのかな?
新しいオモチャというのが引っかかる。
「なぁ、素子」
しんとした廊下。周りには誰もいない。
「スマホ、貸して」
「え?」
「俺の連絡先入れておくから」
「あ……うん」
スマホを雅人に渡す。
少しして、雅人からスマホが返ってくる。
「もう登録できたの? すごいね」
「……ロックかけておいたら?」
「そんなのかけられるの?」
「数字とかパターンで。あと、機種によっては指紋認証とか」
「そっか」
一応肌身離さず持ってるけど体育のときだけは教室に置きっぱなしにしてるんだよね……。
勝手に使われてとんでもない請求額がきたら大変だから設定しておこう。
「だけど狼谷のやつ。こんなのお前に与えてるなんてな」
「ビックリだよね」
「……なぁ」
「?」
「これはアイツに返して、俺が新しいの買ってやろうか」
(……え?)
「俺たち今は『仮』だけどさ」
(雅人……?)
「俺と、」
「モトコー!!」
――!?
正面からやってきたのは、
真っ黒なフード付きパーカーを着た男子。
「みーつけた」