『誰にも言うなよ?』


「だってさぁ。こんな状況なかなか体験できないでしょ。映画のワンシーンみたい」

「……レオって怖いものなしだよね」

「あるよ?」

「どこが」


すると、


まっすぐわたしの目を見て微笑んだ。


「知ってるクセに」


(え……)


「きゃあっ……!!」


――!?


悲鳴が。


それから


バリン、とガラスが割れるような音。


そして


階段を駆け上がるような足音が


聞こえてくる――。


「すぐ近くまで来たっぽいねぇ」

「……レオ。素子連れて、できるだけ離れろ」


(え?)


「はやく」


雅人、まさか


ひとりで立ち向かう気……?


「嫌だ。俺から離れるなって言ったのに……!」

「そんなこと言ってられないでしょモトコ」


レオに手を掴まれる。


「でも……」

「それじゃあ、ボクの手を振り払える?」

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