『誰にも言うなよ?』
……できないっ。
力じゃ敵わない。
「いくらモトコが勇敢でも、女の子なんだよ」
「だったら逃げるの?……雅人を置いて?」
「青山くんは、簡単にヤラレたりしないよ。ね?」
「当たり前だ」
「雅人……」
「ということで。いくよ、モトコ」
ごめん、雅人。
おとりみたいなことさせて、ごめんね……。
どうか上手く撒いて逃げ切って――。
「戻ってきちゃったねぇ」
来た道を辿り、屋上までやってきた。
「あれ、のぼろうか」
レオが指さしたのは、はしごの上の方。
「あそこまでのぼったら誰も来ないんじゃない? きても、一人ずつしかのぼってこないから蹴落とせる」
「……うん」
「青山くんが心配?」
「そりゃあ……」
いくら雅人が強くてもバットとか持つ集団相手に戦えるのかな。
「応援、呼んだら?」
「……応援?」
「カミヤなら駆けつけてくれるんじゃないの」