fantasista





その言葉に、



「はぁぁぁぁ!?」



大声を出すあたし。




「冗談じゃない。

こんなゴミ屋敷になんて住みたくないよ!」




そんな酷いことを言ってしまったけど……



本心はもちろん違う。

戸崎と住むなんて、心臓が持たない。

戸崎と程よい距離を置こうと思っていたのに、それすら出来なくなる。





真っ赤になったあたしは、下を向いた。

そんなあたしに、



「こっち来いよ」



戸崎は言う。




駄目だ。

戸崎がまた甘モードに切り替わっている。

馬鹿な戸崎のくせに、こうやってあたしを離れさせなくするんだから。

全身で戸崎に恋をさせるんだから。

あたしはやっぱり、戸崎には敵わない。



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