fantasista





ふらふらと歩き、戸崎の隣に腰かける。

わざと隙間を空けて。

そんなあたしに手を伸ばし……

戸崎はあたしを抱き寄せる。

湿布の匂いと戸崎の香りに包まれて、頭が沸騰してしまいそう。

近寄ってはいけない、そう思うのに、あたしを呼ぶ戸崎の言葉には抗えないのだ。






「お前さ、やっぱり俺を避けてるな」




耳に心地よく響く、その甘い声。

身体中がきゅんきゅん煩い。





「絶対離さねぇって言ってるだろ」


< 122 / 244 >

この作品をシェア

pagetop