fantasista



昔から思っていた。

戸崎一家は仲良しで……

父親のいないあたしからすれば、すごく羨ましかった。

美貌に運動神経に幸せ家族に、戸崎は恵まれ過ぎている。

恵まれていないものとすれば……





「あんなに素敵な両親から、こんなうざい猿が生まれるなんて」



思わずボヤいたあたしに、



「うるせぇ、ペチャパイ」



戸崎は悪態をついた。





こんな昔みたいなやり取りに安心する。

甘い戸崎は正直苦手だ。

元祖チャラ大魔王のくせに、やたらまっすぐ優しくって。

そんな戸崎にはまり込んで、あたしまでおかしくなるんだから。


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