fantasista
「山形、オトコオンナなんて言っちゃ駄目だよ。
今の山形は、正直見違えるほど可愛くなった。
戸崎が心配するのも分かるよ」
戸崎と聞いて、ピクリとした。
だけど、
「今日は俺のことだけ考えて」
そう言って竹中君は……あたしに顔を近づける。
抵抗しようとするのを必死に我慢する。
竹中君の唇があたしの唇に重なり……
罪悪感でいっぱいになる。
優しいキスなのに、全然嬉しくない。
身体もしびれない。
むしろ、戸崎のキスばかり思い出してしまって。
胸がズキズキ痛む。