fantasista
「山形……いい?」
その言葉に、こくりと頷く。
もう、どうにでもなれと思った。
あたしはこうして、今日の日を一生後悔して生きるんだ。
竹中君は優しくあたしに触れ……
「やめよう」
静かに告げる。
「……え?」
思わず見上げたあたしを、竹中君は切なげに見た。
「俺はこんな山形なんて抱けない。
……戸崎のところに行ってあげて」
その言葉が合図だった。
あたしは転がるようにホテルを飛び出し、夜の道を走った。
大好きな戸崎の家を目指して。