fantasista
ー柊sideー
バチが当たるとはこういうことだ。
どれだけ自分を正しても、過去の行いは消えない。
俺は震える手で携帯を握っていた。
そこには竹中からのメール。
「山形を抱いた」
俺は呆然と立ち尽くしていた。
なんでもっと早く気付かなかったんだろう。
いや……親父の忠告を守らなかったんだろう。
俺が遊び呆けていた時、親父は心配そうに告げた。
「柊君。そんなことばかりしてると、絶対後悔するよ」
そんな親父に、
「うるせぇ!黙れクソジジイ!!」
なんて吐いた自分が愚かに思えた。
結果的に、二度も山形に逃げられる羽目になるんだから。
俺は五年前の、地獄のようなあの日を思い出していた。