fantasista
あたしの手を引いて、どんどん歩く戸崎。
「どこ行くの?」
そう聞くあたしに、
「どこだと思う?」
戸崎は楽しそうに言う。
まるで、子供みたいな無邪気な笑顔だった。
そのまま木が生い茂る公園を通り抜ける。
楽しくて、嬉しくて。
二人で手を握ったまま走っていた。
その戸崎の笑顔が大好き。
優しい手が大好き。
戸崎の全てが大好き。
好きがどんどん大きくなって、自分でも戸惑うほどだ。
やがてぱっと視界が開け、目の前に大きな観覧車が見えた。
「もしかして……」
頰を緩ませるあたしを見て、戸崎は嬉しそうに頷いた。
そんな戸崎を見て、あたしも笑っていた。