fantasista
「戸崎と観覧車に乗るの、初めてだよね」
上がりつつある観覧車の中で、あたしは外を見る。
みるみる視界が高くなり、東京の夜景が広がっていた。
戸崎は立ち上がり、あたしの隣へと移動する。
観覧車が大きく揺れて、
「うわっ、こえー」
なんて言うから、
「あんた、馬鹿じゃない」
いつも通りに告げた。
今日、戸崎とデートが出来て、本当に良かった。
こうやって戸崎と過ごして、あたしたちの関係は修復されつつあるのかもしれない。
「俺、馬鹿だよな」
戸崎は呟いて、おもむろにあたしの手を握る。
例外なく身体がきゅんきゅん音を立てる。