好きだから……
 がん付ける美島に、俺は作り笑顔で首を傾げた。

「……たく。で? このゲームの意味は?」
「ああ、俺の仕事の手伝い」
「は?」
「いくら秀才野郎でも、ユーチューブくらいは知ってんだろ? そこで俺、ゲーム実況してんの。マルチゲームでやる実況のときに、絢には手伝ってもらってんの。だから、ゲーム類はすべて俺から支給。稼いだ金も、バイト代として渡してる」
「なんで、大牧には手伝わせない?」
「ああ、千里? 千里は食いぶちの確保をお願いしてる。料理がうまいからな」

 美島が手に持っていたゲーム2本を、納得したのか鞄の中に入れた。
 絢に手渡してくれんだろ。

「じゃ、お前は大牧と付き合ってるのか?」
「なわけねえだろ」
「なら、青田は?」
「みどり? 幼馴染だけど」
「青田には、ゲームとか料理を頼まないのか?」

「それ、マジで言ってる? みどりにそんな余裕ねえだろ。ただでさえ、試験結果一つで取り乱してんだぞ? ゲームとか料理を頼んでみろ。殺される」
「勉強以外に息抜きできる場所を作ってやんないのかよ」

 美島がアイスコーヒーをストローで吸い上げた。

「はあ。それ、あんたの役目だろ。みどりの気持ち、知ってんだろ」
「クリスマス前に、な。過去の話だ」
「みどりにとったら、過去じゃねえし。過去にされたくもねえだろうよ」

 今度は俺が、フラペチーノを飲んだ。

「だが、結局泣きつく場所はお前のところなんだろ?」
「あんたが冷たいからな」
「3バカ野郎」
「は?」
「お前のことだ」

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