溺愛CEOといきなり新婚生活!?
「何があって、どうして花澄をサンプリングマリッジに出してきたのか、小泉先輩じゃないと分からないことは俺もあまり話せない。でも、ひとつだけ忘れないでいてほしいことがある」
「なんですか……?」
こぼれた涙を指の背で掬って、永井さんは変わることなく優しい微笑みを降らせる。
「俺は、心ごと花澄に奪われてるから。絶対にいなくなったりしないから、忘れないでいて」
私だけを瞳に映し、まっすぐな視線で見つめてくる永井さんは優しすぎる。
本当は、同じことを雅哉さんに言ってほしいのに聞かせてくれない。
切なさをいつでも埋めてくれるのは永井さんで……。
「好きだよ、花澄。こんなに愛しい気持ちになるのは、初めてだ」
永井さんは、寝転んだままの私を両腕で抱きしめた。
「こんなことしないでって、言ってるじゃないですか……」
私の感情なんて無視して、彼は温かく包み込む。
知り合って間もない私たちは、こうして何度も抱きしめあって、行き違う感情の行方なんて分からないままでいる。
心の中に雅哉さんが住み続けているのに、いつの間にか永井さんの存在も色濃くなっていることに気づかされた。