溺愛CEOといきなり新婚生活!?
「なんだよ、殴るならどうぞ?」
自ら襟元をつまみ上げる雅哉さんに、永井さんは睨みつけるだけで手は出さない。
それどころか、私を守るように隣から動かず、異変を感じた他の客の視線を集めても離れずにいる。
「そんなことをしても、彼女の心の傷は癒えない。俺の怒りだって収まらないんですよ」
「……なんで今日に限って、永井が来てるかなぁ、本当タイミングが悪い」
面倒そうに煙草を咥え、火を点けた雅哉さんの横顔の向こうに夜景が広がる。
私が望んでいたのは、こんな夜じゃない。
もっと楽しくてロマンチックで、一生の思い出になるような……。
はらはらと零れ落ちていく涙は止められなくて、先に気づいた永井さんがそっとハンカチを差し出してくれた。