溺愛CEOといきなり新婚生活!?
「そんな恋に二年も費やして、夢中になって……本当に彼の言うとおり無駄だったんです。だから、何もなくなったら、自分も否定しないといられなくて」
「花澄」
「簡単なことも見破れずに、彼だけを見ている自分に酔ってたんだと思う。自分の気持ちしか見えてなかったんだって思ったら情けなくて」
「分かったから」
泣き崩れた私をしっかりと抱きしめ、永井さんは背中をさすっている。多くを語らず、私の泣き言を聞くだけ聞いて……最後までちゃんと聞いて、受け入れてくれたような気がした。
「運命の恋だって、思ってたのに――」
二十八歳で初めて経験した失恋から、どうしたら前に進めるのかわからない。
泣くだけ泣いたらスッキリするのかも知らないし、このまま永井さんに寄りかかって泣くのが正解なのかすら知らない。
私の色々な初めてを知っているのは、雅哉さんだったから……。彼の言うとおりにしてきてしまったから……。