溺愛CEOといきなり新婚生活!?

「ひゃっ!!」

 今度は勢い任せに反転させられ、仰向けになった彼が見上げてくる。
 引き締まった彼の下腹部に腰を下ろす体勢になってしまった私は、自分の重さが気になって下りようとしたのに、腕をつかんで逃がしてくれない彼に引き寄せられ、唇を奪われた。

 一度重なって少し離れ、また奪われた唇が次第に熱を持つ。間を取るたびに私を妖艶に見つめ、啄むようなキスが何度も続く。

 雅哉さんのキスとは違う。欲を満たしたいだけの荒々しさはなく、心があって、温もりに満たされている。


「知ってたけどね、俺を選んでくれるって」

 隠す必要はないはずなのに、心の内を見られたようで恥ずかしい。

 だけど、まだ自分の想いはわからない。
 雅哉さんに失恋した気持ちの整理もついていないし、この雰囲気に流されてはいけないと思う。

 それに……七瀬さんのことだってある。
 過去の彼女だとしても、永井さんの心にいるのが彼女なのかもしれない。


 でも、どうしてこんなに優しくしてくれて、想いを伝えてくれるんだろう。
 知り合って間もないのに……。


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