溺愛CEOといきなり新婚生活!?
ふと私を解放した彼は、携帯で時間を確認してベッドから腰を上げた。
離れてしまった温もりに、寂しささえ感じる。
そして、彼の想いを知っている安心感がそうさせているのだと気付いたら、自分が嫌になる。相手の気持ちを知ってしまっているというのは、なんとも気まずい。
「なんでそんな顔するの?」
彼は私の顎先に指をかけて持ち上げ、まじまじと見つめてくる。揺らぐ視界で切なく微笑みかけてくる彼を見つめ返した。
「……永井さんが、今夜は放っておけないって言った意味を知りたいです」
彼の瞳もわずかに揺れ、熱を帯びていく様を見た。それはとても官能的で、長いまつげが影を落とす。
「せっかくいい人で過ごせそうだったのに」
諦めに似た息をついた彼は、またしても勝手に唇を重ねてきた。
さっきよりも長くて食むようなキスに、私はまぶたを下ろす。