溺愛CEOといきなり新婚生活!?

 抱きしめられながら、再びベッドに押し倒されつつ、サンプリングマリッジを始めてからの毎日は、やっぱり夢のような現実ばかりだと思い返す。

 永井さんと幾晩も同じ屋根の下にいる間、こんな夜が来るなんて思わなかった。
 出会った当日の印象は最悪、ひと言多くていちいち角が立つ物言いをするし、デリカシーっていうものを知らないんじゃないかとさえ思っていた。

 でも翌日から、彼の態度は一変した。
 雅哉さんが羨ましくて妬いていたのだと、包み隠さず心の内を明かしてきた。それすら本当なのか未だに信じられずにいるけれど。


「永井さん、守ってあげたいって言いましたよね?」
「うん」

 鼻先が触れ合いそうなほどの距離ですら、永井さんなら許せる。どうしてなのかなんて今はわからないけど……。


「そんなこと言ってもらえたの、生まれて初めてで……すごく嬉しかったです」

 素直に自分の本心を伝えたら、心が軽くなっていく。
 失恋して寂しくて、傷だらけだった心を誰かに温めてほしかったから……。

 永井さんは一瞬照れたような表情をしてから微笑み、それ以上がないと分かるキスを何度も何度も繰り返す。
 私は彼のキスを受け入れながら、一夜を明かした。


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