溺愛CEOといきなり新婚生活!?

「今日も用があるなら、私といなくてもいいので」
「今日は花澄といるよ」
「無理しなくていいですよ。サンプリングマリッジをしていても、誰と会おうと自由って決まりですし」

 今の私は間違いなくかわいくない。
 私といるって言ってくれて嬉しい反面、放っておいてほしいようなそうじゃないような……心の揺れが自分でも制御できなくなりそう。


「そう……ちょっと出てくる」

 冷めた声色で言い残した彼は出かける支度を進め、三分も経たずに出て行ってしまった。

 七瀬さんからのメッセージを見てからというもの、気持ちが乱れて定まらない。
 好きじゃないと思うのに、彼が自分以外の誰かと過ごしているのを咎めたくなる。
 新しい恋を始めるには早すぎると思うのに、彼に甘えたり触れたりしたくて……。

 こんなに都合よく、新しい恋を始めていいのかな……。


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