溺愛CEOといきなり新婚生活!?
知り合ってから日が浅いせいで、彼と仲直りする方法が思いつかない。
彼の機嫌を損ねてしまったまま、謝りもできずに過ごすのがじれったいのに、謝らなくちゃいけないのかと素直になれない自分もいる。
広いマンションの一室でどこにいればいいのか彷徨いながら、たどり着いたのは彼の部屋だった。
玄関から三つに分かれる廊下のうち、私の部屋がある右側の通路とリビングを挟んだ反対側にある。今まで入ったことはないし、彼がいない時に近寄ったこともない。
ドアが開けたままになっていて室内が見える。フローリングの色は同じダークブラウンで、壁の色は生成り。足音を忍ばせて入ると、L字のデスクにはノートパソコンが置かれていて、傍らの本棚には難しそうな本から漫画までいろいろと揃っているようだ。
一番下の段に卒業アルバムを見つけて、興味のままに引き出した。
「あ……」
隣の本との隙間から引きずり出された一枚の写真が表を向く。
とても綺麗で柔和な微笑みの女性と、寄り添う永井さんだ。いつの頃かわからないけれど、今よりは少し若いように見える。
私なんかよりもずっとお似合いだ。永井さんにはこういう素敵な人がぴったりだと思う。