溺愛CEOといきなり新婚生活!?

 私にそんなことを言われたのが意外だったのか、彼は驚いた顔をした。
 でも、すぐに目尻をくしゃくしゃにして微笑み、私のおでこにキスをひとつ落とした。


「俺のことは、今からたくさん教えてあげる」

 私が知りたい彼の気持ちは、今すぐ言葉にしてくれないようだ。
 知り合って一緒に生活してきた今日まで、何度も“好き”を聞かせてくれたけれど、信じさせてくれる変わらない証拠が欲しくて……。


「わざわざ九条さんに迎えを頼まれるのは、どうしてですか?」

 経験した失恋のせいで、人の恋愛感情を信じられなくなってしまった。
 彼がしてくれることは嬉しいけれど、今だけこうして優しくしてくれるのかなと、疑ってしまうのだ。
 裏切るような人じゃないと思うのに、やっぱりどうしても……永井ホールディングスのCEOが私なんかに恋をするなんて、現実的じゃない気がして。


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