溺愛CEOといきなり新婚生活!?

「でも、みなみ野で食事をした夜は……花澄がさっき聞いてきたことの答えになるんだけど」
「はい」
「まさか、花澄の彼が小泉先輩だとは思わなくて、本当にびっくりした」

 あの夜、傷ついた私を永井さんが気にかけてくれたのを覚えている。
 私が落ち込もうと失恋しようと放っておくことだってできたのに……永井さんは、この生活を始めた最初から、私を――。


「本当のことを言うとね、俺は小泉先輩に家族がいることを知ってた」
「えっ!?」

 驚いた私を見て、彼は申し訳なさそうに眉尻を下げて小さく微笑む。


「OB会で知り合って少ししてから、先輩の披露宴に招待されたんだ。だから……花澄が付き合ってるって聞かされた時、助けたいって思った。花澄がどんなに彼を愛していても、その先に幸せはないって知ってたから」

 彼は正面の窓から見えるレインボーブリッジにぼんやりと焦点を合わせ、その夜を思い出しているようだ。


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