溺愛CEOといきなり新婚生活!?
「花澄と彼の関係を知った時、すぐに言おうとも思った。でも、俺に何の興味もないし、早くサンプリングマリッジが終わればいいって思ってる花澄が、俺の言うことを信じるのかなって……」
「……ごめんなさい」
「どうして花澄が謝るの?」
「だって……私のためにそこまで考えてくれてたんだって思ったら、あんなに冷たい態度ばかり取ってたのが申し訳なくて」
ふわっと乗せられた彼の手が、私の髪を撫でる。そして、滑るように左頬に落ち、そっと包んだ。
「だから言ったでしょ? お願いだから俺に奪われてって」
三ヶ月の記憶が、アルバムをめくるように思い出される。
みなみ野で食事をして、帰ってからお礼に彼の手を揉んで……それから、抱きしめられて。
「泣かないの」
思わず涙がこぼれて、それを見逃さなかった彼はハンカチを差し出してくれた。笑顔でいたいと思うのに、無理に口角を上げたから不器用な笑みになってしまった。