溺愛CEOといきなり新婚生活!?

「海都さんと九条さんは、お先に始めててください。昨日のうちに下準備だけはしておいたので、すぐに出来上がると思います」

 花澄さんは、通勤着のワンピースの上からエプロンを着け、時計や指輪を外して手を洗うと、気を使って私たちに食前酒のワインとチーズを出してくれた。


「社長、いつもこんな感じなんですか?」
「そうだよ。彼女は本当に気が利くし、家庭的で料理も上手だし……それに」

 突然私の耳を貸すように言われ、おもむろに顔を近づける。


「……そうですね。素敵だと思います」
「そうだろ? でも俺のものだからな」
「存じております」


 何を言うかと思ったら、「花澄のエプロン姿は、最高にかわいいと思わないか?」だった。

 社長はエプロンフェチなんだろうか。
 ――いや、花澄さんのことなら何でもお好きなのだろう。現に、今もキッチンでいそいそと調理を進めている彼女を、優しい微笑みを浮かべて見つめているくらいだ。


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