溺愛CEOといきなり新婚生活!?

「何か手伝う?」
「大丈夫です。海都さんは九条さんとお話していてください」
「いいよ、別に。九条とはいつも話してるし」

 呼ばれてここにいると言うのに、そっちのけですか。
 こうなる予感は薄々感じておりましたが。

 花澄さんのお気持ちがわからないわけではない。
 どういう経緯で社長の恋人になられたのか、ざっくりではあるけれど聞かせていただいたし、おそらく彼女は“奥様気分”を味わいたいのだろう。それは決して悪いことではないから、咎めるわけにもいかない。


「花澄、今度新しい調理器具買ってあげるよ。欲しいのがあったら言って」
「十分揃ってますよ?」
「本当に? 足りないのがあれば言うんだよ。俺は花澄の料理が楽しみなんだから」
「はい」

 あぁ、甘い。食事の前にスイーツを食べたようだ。
 それに、こんなデレデレした社長は見たことがない。
 お二人を車に乗せた時があったけれど、ここまでじゃなかったはずで……。


「九条さん、海都さんが離れてくれないので何とかしてください」

 調理の邪魔だと言いたいのだろうけれど、それはご自分でなんとかしていただきたく。


「――はい。九条でございます」

 微笑みで交わした後、かかってきてもいない電話に応答するふりをして、彼らがいちゃいちゃしている光景が目に入らないよう、リビングから廊下に逃げた。


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