溺愛CEOといきなり新婚生活!?

 綺麗に盛りつけられたパエリアがテーブルに置かれ、各々用意された皿によそった。


「……どうですか?」

 心配そうに花澄さんが感想を求めてきた。
 気を使わなくとも、とても美味しいので答えに困ることはない。


「とても美味しいです。羨ましいですね、こんなに美味しい手料理が毎日食べられるなんて」
「いいだろ。お前も早くあの子を捕まえればいいだけのことだ」
「っ、ゴホっ!!……社長、何のことでしょうか」

 社長に不意を突かれて、サフランライスを詰まらせてしまった。
 そんな私を気遣って、花澄さんがすかさずミネラルウォーターをグラスに注いでくれた。

 本当に気の利く方だ。
 取り分け皿も人肌に温められているし、ワインの温度もちょうどいい。カトラリーも傷ひとつなく、大切に扱われているのが分かる。


「九条の好きな女のことだ。自分のことくらい分かるだろう?」
「あの」
「隠そうとするだけ無駄。九条も三十二になったんだし、上手くいって結婚するとなれば、どうしたって俺に報告するんだから」

 そう話す社長の隣で、花澄さんは楽しそうにしている。


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