溺愛CEOといきなり新婚生活!?
まったく、本当に人が変わったようです。
実際はどうか分からないけれど、少なからず惚れこむタイプではなかったはずだ。
だからこそ、仕事優先で恋愛なんて二の次三の次……。
七瀬さんのことは、おそらく愛情を持ち寄ったけれど歯車がかみ合わなかったというか、社長が求めていた恋愛ではなかったのかもしれないと察するまでにしてきた。
当人ではないと分からないことも多々ある中、花澄さんとの交際だけは“命がけ”と言っても過言ではないと伝わるものがある。
「それでは、参ります」
「途中でカフェに寄ってくれる?」
「いつものコーヒーでよろしいですか?」
「九条の分もね」
社長を乗せた社用車で、都内の朝の風を切る。