溺愛CEOといきなり新婚生活!?
不意にデスクの内線が鳴って、彼女から身体を離して足を向ける。
《九条です。明日の朝、御門に直行する予定となりましたのでお伝えしようと》
「ありがとう。もう帰ったのか?」
《いいえ、外で食事を》
「……そうか、上手くいくといいな」
なんとなく察した俺は、九条からの電話を早々に切り上げた。
もしかしたら、例の彼女と一緒にいるのかもしれない。平日のこの時間から会うのは久々だろう。
「帰ろうか」
乱れた服を整え、ソファから腰を上げた花澄と社長室を出た。
「手、繋いでてもいいですか?」
「いいよ」
帰宅までの間、ハイヤーの後部座席で重ねられた彼女の手に、そっと指を絡める。
さっき九条から連絡が入っていなかったら、今頃襲いかかっていたかもしれない。
時々思いもよらない爆弾を落とす花澄に振り回されてばかりだな……。