溺愛CEOといきなり新婚生活!?
食事を終え、明日のために寝支度を整えた。
平日は朝六時半に起きて、九時前には余裕をもって出社している。自宅よりこの部屋の方が会社からは近いけれど、いつもと違う路線に乗らなくてはいけないから、念のためいつもと同じ時間に出かけよう。
シャワーを済ませ、髪を乾かしてリビングに戻ると、永井さんは自室から持ち出したノートPCで作業をしているようだ。
耳にワイヤレスのイヤホンをしているから、話しかけるのはさらに憚られた。
今日の永井さんは、昨日とは別人のようだったと自分の部屋のベッドに座って思い出す。
好きだとか、かわいいとか……奪うとか。出会ったばかりの人に好意を伝えられても困る。
それに、本気に火を点けたって言っていたのは……どういうことなんだろう。
永井さんといると、感情が忙しい。思わず言い返してしまうほどムッとさせられたかと思えば、ドキドキするようなことをしてきたりして……。
トントン、と部屋のドアが不意にノックされて、ベッドの上でクッションを抱えていた私は目を向けた。
「今からシャワー浴びてくるから、もう少しだけ起きてて」
永井さんがそう言い残してすぐに、ドアの前から気配が遠のいた。